生成AIの導入は中小企業にとって大きなチャンスですが、何から始めれば良いか迷うことも。
本コラムは『中小企業のための「生成AI導入の進め方」実践シリーズ』の第1回です。
今回は、中小企業が生成AI導入で最初にやるべき3つのステップを解説します。スモールスタートで成果を出すための具体的な方法や、導入を成功させるポイントをまとめました。
目次
ステップ1:自社の課題とAIで解決できることの明確化
課題の洗い出しと優先順位付け
中小企業が生成AIを導入する上で、最初に重要なステップは、自社の抱える課題を明確にし、その中でAIが解決に貢献できる領域を見極めることです。闇雲に最新技術を導入するのではなく、現状の業務プロセスを詳細に分析し、具体的な課題を特定することから始めましょう。
業務プロセスの洗い出しでは、各部署の業務内容、使用しているツール、情報の流れなどを可視化します。その上で、ボトルネックとなっている箇所、 時間やコストが過剰にかかっている業務、人的ミスが発生しやすい作業などを特定します。例えば、顧客からの問い合わせ対応、メールの作成、会議の議事録作成、 データ入力などが挙げられます。これらの業務をリストアップし、その中でも特に改善効果が期待できるものから優先順位をつけていきます。
優先順位をつける際には、課題の重要度、緊急度、解決の難易度などを考慮すると良いでしょう。例えば、 顧客満足度に直結する課題や、法令遵守に関わる課題は、優先的に取り組むべきです。また、比較的容易に解決できる課題から着手することで、 AI導入の効果を早期に実感でき、社内のモチベーション向上にもつながります。
AIで解決可能な課題の特定
次に、リストアップした課題の中から、生成AIの活用が有効なものを特定します。 生成AIは、大量のテキストデータを学習し、自然な文章を生成したり、様々なタスクを実行したりすることができます。 そのため、文章作成、翻訳、要約、質疑応答、データ分析など、幅広い業務への応用が可能です。
例えば、FAQ対応や顧客対応であれば、Copilotのようなチャットボットが役立ちます。顧客からの問い合わせに対して、24時間365日自動で対応できるため、 顧客満足度向上や業務効率化に貢献します。文書作成やメール作成であれば、文章生成AIツールが役立ちます。テンプレートに基づいた文章を自動生成したり、 キーワードを入力するだけで、様々な表現の文章を作成したりすることができます。これにより、担当者の負担を軽減し、作成時間の短縮にもつながります。
課題とAIの得意分野を照らし合わせ、最適なAIツールを選定することが重要です。 AIツールによっては、特定の業界や業務に特化したものもありますので、自社のニーズに合ったものを慎重に選ぶようにしましょう。
目標設定と効果測定
AI導入によって、どのような成果を期待するのか、具体的な目標を設定します。目標設定は、AI導入の方向性を明確にし、 効果測定を可能にするために非常に重要です。 目標は、SMART(Specific,Measurable, Achievable, Relevant, Time-bound) の原則に基づいて設定すると良いでしょう。
例えば、「顧客対応時間を20%削減する」「メール作成時間を50%削減する」「顧客満足度を10%向上させる」「売上を5%増加させる」といった定量的な目標を設定することで、導入後の効果測定が容易になります。目標達成の期限も明確にすることで、 進捗管理がしやすくなります。
また、目標設定と合わせて、効果測定の方法も事前に検討しておきましょう。 例えば、顧客対応時間を測定するために、対応履歴のデータ分析を行ったり、顧客満足度を測定するために、 アンケートを実施したりする方法が考えられます。効果測定の結果は、AIツールの改善や業務プロセスの見直しに役立てることができます。
ステップ2:スモールスタートでAIツールを試す
無料トライアルやPoCの活用
大規模なシステムをいきなり導入するのではなく、 まずは無料トライアルやPoC(概念実証)を活用して、AIツールの効果を試してみましょう。これにより、 投資リスクを抑えながら、AIツールの実用性や自社への適合性を評価できます。
多くのAIツールベンダーは、無料トライアル期間を提供しています。 この期間を利用して、実際にツールを操作し、自社のデータで試してみることで、導入後のイメージを具体的に掴むことができます。PoC(概念実証)は、特定の課題に対してAIツールが有効かどうかを検証するプロセスです。 PoCを通じて、AIツールの導入効果や課題、必要なリソースなどを把握することができます。 中小企業向けのSaaS型AIツールや、 外注AIサービスを利用することで、手軽にAIを体験できます。SaaS型AIツールは、クラウド上で提供されるため、 初期費用を抑えて導入できます。外注AIサービスは、AIの専門家によるサポートを受けながら、AI導入を進めることができます。
AI人材の育成または外部委託
AIツールを効果的に活用するためには、AIに関する知識を持った人材が必要です。 AI人材は、AIツールの選定、導入、運用、効果測定など、AI導入の全般に関わる役割を担います。 社内でAI研修を実施したり、外部の専門家を招いて、AI人材を育成しましょう。AI研修では、AIの基礎知識、AIツールの使い方、 データ分析の手法などを学ぶことができます。
人材が不足している場合は、AI導入支援サービスやコンサルタントを活用するのも有効です。 AI導入支援サービスは、AI導入の計画策定から、ツールの導入、運用までをトータルでサポートしてくれます。 コンサルタントは、AI導入に関する専門的な知識や経験を持っており、企業に最適なAI戦略を提案してくれます。 AI人材の育成と外部委託を組み合わせることで、 より効果的にAI導入を進めることができます。
現場への導入とフィードバック収集
一部の部署や業務に限定してAIツールを導入し、 現場からのフィードバックを収集します。現場の意見を取り入れながら、ツールの使い方を改善したり、業務プロセスを最適化することで、 より効果的なAI活用が可能になります。現場の意見は、AIツールの改善だけでなく、組織全体の改善にもつながります。
現場への導入では、AIツールの使い方を丁寧に説明し、操作マニュアルを作成したり、研修を実施したりすることが重要です。 また、現場からのフィードバックを収集するために、アンケートを実施したり、ヒアリングを行ったりするのも有効です。 収集したフィードバックは、AIツールの開発ベンダーに伝え、改善を依頼することもできます。現場と協力しながら、 AIツールを改善していくことで、より効果的なAI活用が可能になります。
ステップ3:本格導入と社内への展開
導入効果の検証と改善
スモールスタートで得られたデータを基に、AIツールの導入効果を検証します。 目標達成度やROI(投資対効果)などを評価し、改善点があれば、ツール設定や業務プロセスを見直します。 効果検証は、AI導入の成否を判断し、 今後のAI戦略を策定するために非常に重要です。
目標達成度の評価では、事前に設定した目標値と、 AIツール導入後の実績値を比較します。ROIの評価では、AIツールの導入費用と、導入によって得られた利益を比較します。 改善点があれば、ツール設定を見直したり、 業務プロセスを最適化したりします。例えば、AIツールの学習データを追加したり、 AIツールのパラメータを調整したりすることが考えられます。
全社展開に向けた準備
本格導入に向けて、全社的なAI戦略を策定します。 AIガバナンスを確立したり、社内ルールを整備するなど、 組織全体でAIを活用するための準備を行いましょう。AI戦略は、AI導入の目的、目標、 推進体制、リスク管理などを明確にするものです。 AIガバナンスは、AIの倫理的な利用、データの保護、プライバシーの尊重などを確保するための仕組みです。 社内ルールは、AIツールの利用方法、 データの取り扱い、責任範囲などを定めるものです。
全社展開では、AIに関する知識やスキルを持った人材を育成したり、 AIを活用するためのインフラを整備したりすることも重要です。また、従業員への説明会を実施したり、 FAQを作成したりするなど、従業員の理解と協力を得るための活動も行いましょう。
成功事例の共有と継続的な改善
AI導入によって得られた成功事例を社内で共有し、 AI活用のノウハウを蓄積します。成功事例の共有は、従業員のモチベーション向上や、他の業務へのAI活用を促進する効果があります。 成功事例は、社内報で紹介したり、勉強会を開催したり、事例集を作成したりするなど、様々な方法で共有できます。
また、AI技術は常に進化しているため、継続的に情報収集を行い、最新の技術を取り入れることで、AI活用の効果を最大化することができます。 AIに関するセミナーに参加したり、専門誌を購読したり、オンラインコミュニティに参加したりするなど、情報収集の方法は様々です。 継続的な改善は、AI導入の効果を持続的に高めるために不可欠です。
まとめ:中小企業こそ、AIを積極的に活用しよう
中小企業が生成AIを導入する際は、まず自社の課題を明確にし、 スモールスタートでAIツールを試すことが重要です。現場からのフィードバックを収集しながら、 全社展開に向けた準備を進めることで、AI導入を成功させることができます。 AIは、業務効率化、生産性向上、コスト削減、顧客満足度向上など、様々な効果をもたらします。
中小企業こそ、AIを積極的に活用し、 競争力を高めていくべきです。AI導入は、決して簡単な道のりではありませんが、 一歩ずつ着実に進めていくことで、必ず成果を上げることができます。AIを積極的に活用し、業務効率化や生産性向上を実現しましょう。 未来への投資として、AI導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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