VPNが繋がらない?原因究明と解決チェックリスト:認証エラーから回線トラブルまで

コラム

本コラムは、中小企業の情報システム担当者向けに、日々発生するITトラブルや障害に対して「まず何を確認すべきか」「どこまで切り分ければよいのか」を体系的に解説する『中小企業のためのIT障害対応 実践シリーズ』の第4回です。
VPN接続が突然できなくなった経験はありませんか?本記事では、VPNが繋がらない際に確認すべき認証、端末、回線、装置の切り分けチェックリストをご紹介します。原因を特定し、スムーズなVPN接続を取り戻しましょう。

目次

VPN接続できない原因の切り分け:4つのチェックポイント

認証情報の確認:ID、パスワード、認証プロトコル

VPN接続で最も一般的な問題の一つが、認証情報の誤りです。まずは、入力されたIDとパスワードが正しいかどうかを慎重に確認しましょう。大文字と小文字、数字、記号などが正確に入力されているか、入力ミスがないかなどをチェックすることが重要です。特に、パスワードは複雑な文字列で構成されていることが多いため、注意深く確認してください。

また、VPN接続に使用している認証プロトコルが正しいかどうかも確認が必要です。一般的なVPNプロトコルには、IPsec、L2TP/IPsec、PPTP、SSTP、OpenVPNなどがあります。使用しているVPNサーバーがどのプロトコルをサポートしているかを確認し、クライアント側の設定が一致していることを確認してください。認証プロトコルが一致していない場合、VPN接続は確立されません。

もし、UTM(統合脅威管理)のようなセキュリティ製品を利用している場合は、VPN接続に関する認証設定が適切に構成されているかを確認してください。UTMの設定によっては、特定のIPアドレスやポートからのVPN接続のみを許可するように制限されている場合があります。UTMの設定を確認し、VPN接続に必要な設定が正しく行われていることを確認してください。認証情報の確認は、VPN接続トラブルシューティングの最初のステップとして非常に重要です。

端末側の設定確認:OS、VPNクライアント、セキュリティソフト

VPN接続がうまくいかない場合、端末側の設定に問題がある可能性も考慮する必要があります。まず、使用しているOS(Windows、macOS、iOS、Androidなど)のバージョンが最新の状態に保たれているか確認してください。古いバージョンのOSでは、VPNプロトコルやセキュリティ機能がサポートされていない場合があります。OSを最新バージョンにアップデートすることで、VPN接続の問題が解決することがあります。

次に、VPNクライアントが最新バージョンであるかを確認してください。VPNクライアントは、VPNサーバーとの接続を確立し、データを暗号化・復号化するためのソフトウェアです。古いバージョンのVPNクライアントでは、セキュリティ上の脆弱性があったり、最新のVPNプロトコルをサポートしていなかったりする場合があります。VPNクライアントを最新バージョンにアップデートすることで、VPN接続の安定性とセキュリティを向上させることができます。

さらに、セキュリティソフト(ファイアウォール、アンチウイルスソフトなど)がVPN接続をブロックしている可能性も考慮する必要があります。セキュリティソフトは、不正なアクセスやマルウェアから端末を保護するために、ネットワーク通信を監視しています。VPN接続をセキュリティソフトが誤ってブロックしてしまうと、VPN接続が確立されません。セキュリティソフトの設定を確認し、VPN接続を許可するように設定を変更することで、問題を解決できる場合があります。

回線状況の確認:インターネット接続、ルーター、プロバイダ

VPN接続の問題を解決するためには、インターネット回線が正常に機能していることを確認することが不可欠です。まず、インターネットに正常に接続できているかどうかを確認してください。Webサイトを閲覧したり、別のデバイスでインターネット接続を試したりして、インターネット回線自体に問題がないかを確認します。インターネットに接続できない場合は、回線業者に問い合わせて、回線状況を確認してもらう必要があります。

次に、ルーターが正常に動作しているかを確認してください。ルーターは、インターネット回線と端末を接続するための機器です。ルーターに問題があると、VPN接続が確立できないことがあります。ルーターの電源を入れ直したり、設定を確認したりすることで、問題を解決できる場合があります。ルーターの設定画面にアクセスし、ファームウェアが最新の状態に保たれているか確認することも重要です。古いファームウェアにはセキュリティ上の脆弱性が含まれている可能性があり、VPN接続に影響を与えることがあります。

さらに、プロバイダ(インターネットサービスプロバイダ)に問い合わせて、回線状況を確認することも有効な手段です。プロバイダ側のネットワークに問題が発生している場合、VPN接続が不安定になったり、接続できなくなることがあります。プロバイダに問い合わせて、回線状況やメンテナンス情報などを確認することで、問題の原因を特定できる場合があります。

特に、モバイルWi-Fiルーターを使用している場合は、通信制限がかかっていないか注意が必要です。通信制限がかかると、VPN接続に必要な帯域幅が不足し、接続が遅延したり、途切れたりすることがあります。モバイルWi-Fiルーターの通信量を確認し、必要に応じて追加のデータプランを購入するなどの対策を検討してください。

ネットワーク機器・サーバー側の確認:ファイアウォール、VPNサーバー

企業ネットワークに接続するためにVPNを使用している場合、ファイアウォールがVPN接続をブロックしている可能性があります。ファイアウォールは、不正なアクセスからネットワークを保護するためのセキュリティシステムです。ファイアウォールの設定によっては、特定のポートやプロトコルを使用するVPN接続を許可していない場合があります。ネットワーク管理者またはシステム担当者に連絡して、ファイアウォールの設定を確認し、VPN接続に必要なポートとプロトコルが許可されていることを確認してください。また、VPN接続に使用するIPアドレスがファイアウォールによってブロックされていないかも確認する必要があります。

VPNサーバー自体に問題が発生している可能性も考慮に入れる必要があります。VPNサーバーは、VPN接続を確立し、データを暗号化・復号化する役割を担っています。VPNサーバーに障害が発生したり、メンテナンスが行われている場合、VPN接続が確立できなくなることがあります。VPNサーバーの管理者またはサービス提供元に連絡して、VPNサーバーの状態を確認してください。VPNサーバーの負荷が高くなっている場合も、接続が不安定になることがあります。

マネージドVPNサービス(typeVなど)を利用している場合は、サービス提供元に問い合わせることも検討してください。マネージドVPNサービスは、VPNサーバーの運用・管理を専門の事業者に委託するサービスです。サービス提供元は、VPNサーバーの状態を監視し、障害発生時には迅速に対応してくれます。VPN接続の問題が解決しない場合は、サービス提供元に問い合わせて、サポートを受けることをお勧めします。

Mac/iPhone/iPadでVPNが繋がらない場合の注意点

macOSのバージョン確認とネットワーク設定

MacでVPN接続がうまくいかない場合、まず確認すべきはmacOSのバージョンです。古いバージョンのmacOSでは、最新のVPNプロトコルがサポートされていないことがあります。Appleメニューから「このMacについて」を選択し、表示されるウィンドウでmacOSのバージョンを確認してください。最新バージョンでない場合は、AppStoreからmacOSをアップデートしてください。

次に、ネットワーク設定でVPN接続が優先されるように設定されているか確認します。システム環境設定を開き、「ネットワーク」を選択します。VPN接続がリストに表示されていることを確認し、優先順位が上位になっていることを確認してください。VPN接続がリストにない場合は、「+」ボタンをクリックしてVPN接続を追加します。VPNの種類を選択し、必要な情報を入力してVPN接続を設定します。

詳細設定で、DNSサーバーの設定が正しく行われているか確認することも重要です。DNSサーバーは、Webサイトのドメイン名をIPアドレスに変換する役割を担っています。VPN接続時にDNSサーバーが正しく設定されていないと、Webサイトにアクセスできなくなることがあります。「ネットワーク」の詳細設定で、「DNS」タブを選択し、DNSサーバーのアドレスが正しく入力されていることを確認してください。

iOSのアップデートとWi-Fi接続の安定性

iPhoneやiPadでVPN接続がうまくいかない場合、iOSのバージョンが最新であるかを確認することが重要です。古いバージョンのiOSでは、VPN接続に関する不具合が修正されていない場合があります。「設定」アプリを開き、「一般」>「ソフトウェア・アップデート」を選択して、最新のiOSバージョンが利用可能かどうかを確認してください。利用可能なアップデートがある場合は、インストールすることをお勧めします。

また、VPN接続はWi-Fi環境に大きく依存します。不安定なWi-Fi環境では、VPN接続が頻繁に途切れたり、接続速度が低下したりすることがあります。できる限り、安定したWi-Fi環境でVPN接続を試してください。Wi-Fiルーターの近くに移動したり、他のWi-Fiネットワークに接続したりすることで、接続の安定性を改善できる場合があります。Wi-Fiルーターの再起動も、一時的な問題を解決するのに役立ちます。

モバイルデータ通信でVPN接続を使用している場合は、データ通信量が制限されていないか確認してください。データ通信量が制限されている場合、VPN接続に必要な帯域幅が不足し、接続が遅延したり、途切れたりすることがあります。「設定」アプリを開き、「モバイル通信」でデータ通信量を確認し、必要に応じて追加のデータプランを購入するなどの対策を検討してください。

VPN接続が途切れる/遅い場合の対処法

通信帯域の確認とVPNサーバーの変更

VPN接続が頻繁に途切れたり、速度が遅い場合、通信帯域が不足している可能性があります。VPN接続は、データの暗号化・復号化処理を行うため、通常のインターネット接続よりも多くの帯域幅を必要とします。特に、動画視聴やファイルダウンロードなど、大量のデータを送受信する際には、VPN接続の速度が低下しやすくなります。

他のアプリケーションを閉じて、VPN接続に必要な帯域幅を確保してみてください。不要なアプリケーションがバックグラウンドで動作していると、帯域幅を消費し、VPN接続の速度を低下させる可能性があります。タスクマネージャー(Windows)やアクティビティモニタ(macOS)を使用して、帯域幅を消費しているアプリケーションを特定し、終了させることで、VPN接続の速度を改善できる場合があります。

VPNサーバーを変更することで、速度が改善されることもあります。VPNサービスによっては、複数のVPNサーバーが用意されており、それぞれ異なる場所に設置されています。VPNサーバーの場所が遠いほど、データ転送に時間がかかり、速度が低下する可能性があります。地理的に近いVPNサーバーを選択したり、負荷の少ないVPNサーバーを選択したりすることで、VPN接続の速度を改善できる場合があります。VPNクライアントの設定画面で、VPNサーバーのリストを確認し、最適なサーバーを選択してください。

VPNプロトコルの変更と暗号化レベルの調整

VPN接続の速度が遅い場合、VPNプロトコルを変更することで速度が改善されることがあります。VPNプロトコルには、OpenVPN、IPsec、L2TP/IPsec、PPTPなど、さまざまな種類があります。一般的に、OpenVPNはセキュリティが高く、IPsecは高速であると言われています。VPNクライアントの設定画面で、VPNプロトコルを変更し、速度が改善されるかどうか試してみてください。ただし、VPNプロトコルを変更すると、セキュリティレベルが低下する可能性があるため、注意が必要です。

暗号化レベルを下げることで、VPN接続の速度を改善できる場合があります。VPN接続では、データを暗号化することでセキュリティを確保していますが、暗号化処理はCPUに負荷をかけ、速度を低下させる可能性があります。VPNクライアントの設定画面で、暗号化レベルを調整し、速度が改善されるかどうか試してみてください。ただし、暗号化レベルを下げると、セキュリティレベルが低下するため、注意が必要です。

VPNプロトコルや暗号化レベルの変更は、セキュリティと速度のバランスを考慮して行う必要があります。セキュリティを重視する場合は、OpenVPNを使用し、暗号化レベルを高く設定することをお勧めします。速度を重視する場合は、IPsecを使用し、暗号化レベルを下げることを検討してください。

VPN設定の見直しとセキュリティ対策

VPN設定の再確認と不要な設定の削除

VPN接続に問題が発生した場合、VPN設定を再度確認し、不要な設定を削除することで、問題が解決することがあります。VPNクライアントの設定画面を開き、サーバーアドレス、ユーザー名、パスワードなどの基本設定が正しく入力されているか確認してください。入力ミスがあると、VPN接続が確立されません。

複数のVPN設定がある場合は、競合していないか確認してください。複数のVPN設定が同時に有効になっていると、VPN接続が不安定になったり、接続できなくなることがあります。不要なVPN設定を削除するか、無効にすることで、問題を解決できる場合があります。

プロキシサーバーの設定がVPN接続に影響を与えている可能性も考慮する必要があります。プロキシサーバーは、Webサイトへのアクセスを中継するサーバーです。VPN接続時にプロキシサーバーが有効になっていると、VPN接続が正常に機能しないことがあります。VPNクライアントの設定画面で、プロキシサーバーの設定を確認し、必要に応じて無効にしてください。

セキュリティソフトの設定とVPN接続の許可

セキュリティソフト(ファイアウォール、アンチウイルスソフトなど)がVPN接続をブロックしていないか確認し、VPN接続を許可するように設定してください。セキュリティソフトは、不正なアクセスやマルウェアから端末を保護するために、ネットワーク通信を監視しています。VPN接続をセキュリティソフトが誤ってブロックしてしまうと、VPN接続が確立されません。

セキュリティソフトの設定画面を開き、VPNクライアントの実行ファイル(.exeファイル)を例外リストに追加することで、VPN接続を許可することができます。例外リストに追加することで、セキュリティソフトはVPNクライアントの通信を監視対象から除外し、VPN接続をブロックしなくなります。

ファイアウォールの設定で、VPN接続に必要なポートとプロトコルが許可されていることを確認してください。VPN接続には、特定のポート(例:UDP1194)とプロトコル(例:OpenVPN)を使用します。ファイアウォールがこれらのポートとプロトコルをブロックしていると、VPN接続が確立されません。ファイアウォールの設定画面で、VPN接続に必要なポートとプロトコルを許可するように設定を変更してください。

セキュリティレベルとのバランスを考慮しながら設定を行うことが重要です。VPN接続を許可することで、セキュリティレベルが低下する可能性があるため、注意が必要です。信頼できるVPNサービスを利用し、セキュリティソフトを最新の状態に保つことで、リスクを軽減することができます。

まとめ:VPN接続トラブルシューティングのポイント

VPN接続で問題が発生した場合、冷静かつ体系的に原因を特定し、解決策を見つけることが重要です。まず、認証情報が正しいか、VPNクライアントやOSが最新の状態であるか、インターネット回線に問題がないかなど、基本的な要素から確認を始めましょう。これらの基本的なチェックポイントをクリアすることで、問題の範囲を絞り込むことができます。

次に、より詳細な調査が必要となる場合があります。ファイアウォールやセキュリティソフトの設定、VPNサーバーの状態、ネットワーク機器の設定など、専門的な知識が必要となる箇所も存在します。これらの設定を確認する際には、ネットワーク管理者やシステム担当者の協力を仰ぐことをお勧めします。

VPN接続の問題は、様々な要因が複雑に絡み合って発生することがあります。そのため、一つずつ丁寧に原因を特定していくことが重要です。焦らず、根気強くトラブルシューティングを行うことで、必ず解決策を見つけることができるはずです。

本記事で紹介したチェックリストを参考に、認証情報、端末設定、回線状況、ネットワーク機器の設定を一つずつ確認していくことで、スムーズなVPN接続を取り戻しましょう。VPN接続は、リモートワークや海外出張など、様々なシーンで必要となる重要なツールです。VPN接続を快適に利用するために、トラブルシューティングの知識を身につけておくことは非常に有益です。

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